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    異なる作風の2人がコラボ
 相乗効果が生んだ新たな世界観
増田裕士 & 佐野まひろ「Yin and Yang(陰と陽)」
 作品「Lost and Found」の前で、増田裕士(左)と佐野まひろ
CITS CI CAES C
MO TE MA
■ 4 月 15 日(土)まで
■会場:Café Grumpy Fashion District
 200 W. 39th St. (bet. 7th & 8th Aves.) ■観覧無料 ■問合せ:admin@matzu.net
■ cafegrumpy.com/locations/fashion-district
Mo MA
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二人展「Yin and Yang(陰と陽)」
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   現代美術作家の松 山智一が率いる「松山 スタジオ」。ブルック リンを拠点に、自ら の創作活動のみなら ず、アーティストの育 成にも力を注いでい る。  互いに切磋琢磨し あう環境で出会った 2人の若手アーティ スト、増田裕士と佐 野まひろが、カフェ・ グランピーでコラボ展
人の共同作業の下地 た増田だが、「大量 の始まりだった。 ィブで、ダンボールか は、すでに出来上が 消費」や「大量廃棄」 絵を描きながら らほぼ天井まで届く
た。もう一人は、大 合と、コラボとの違 学時代からの友人、いとは何か。
「Yin and Yang( 陰 と陽)」を開催中だ。 たお悩みを解決する
アの首都ブラチスラ バに移住した佐野。 小学校の大半をスロ
バキアで、中高時代
は日本で過ごした。
 2018年、オハ
イオ州セダービル大
学で地質学を専攻
するが、「本当に学 びたいものは何か」andFound」という
っていた。
へ疑問を持ち、自 然を相手にした「マ リンスポーツ」業界へ 転身。環境保護活 動などにも従事した 後、2017年、世 界一周の旅を開始し た。ところが最初の 国で睡眠薬を飲まさ れ、1万ドルを奪わ れてしまう。旅の資 金を調達するため路 上で通行人の名前を 日本語で書いていた 際に、「似顔絵を描
ヵ国を巡った後、 滑り台をデザインし
ジャクソン。彼とは夜 中まで人生について よく語りました。ア ートへの愛を再び気 付かせてくれたのも 彼でした」
増田「自作の場合、 リーダーは自分自身 だけですが、コラボ 作品は2人がリーダ ーです。相手があって 成立する作品は、良 くも悪くも予定不調 和で、おもしろいで すね」 佐野「描きたいこと を自分のペースで進 めるのではなく、共 通のテーマや互いのス ケジュールを考慮した 上で成り立つのがコ ラボ。互いの思想を 共有し、固定観念に 縛られず、チャレンジ できることが利点だ
増田裕士 「路上で描いた似顔絵」
2018年に帰国。 旅先で養われた知識 や経験を生かし、ア ーティストとしての 活動をスタートし た。渋谷109の新 ビジュアル制作、個 展、アディダス・オ リジナルの新作スニ ーカー「スタンスミ ス」とのコラボなど を経験。2021 年にはユニクロと
て組み立てたことも。
今思うと、アートに
興味を持ったのは父
の影響が大きかった
かもしれません」
 日本で生まれ、父  さらに、目標とす 親の転勤でスロバキ る人物として「祖母」
 幼少時、家の白い 壁に、「めちゃめちゃ な絵を描いていた」と 打ち明ける増田。  「小学生の頃、友 達の前ではおちゃら けていましたが、学 級委員として『相談 ボックス』に投函され
を上げ、「彼女ほど 謙虚で、周りに献身 的な愛を注ぎ続ける 人は知りません」と 続けた。
スタジオ内で、増田
が担当する作品に
デザイナーとして参
加していた佐野、2 で広告業界に就職し「アーティスト・増田」2022年5月から
など、真面目な部分
もありました」 いては?」とアドバイ
 2010年、日本 スを受ける。これが、+MoMA」で入賞し、
が行うコ
コラボ作品
「Lost and Found」
ンテスト「UTGP2020
ニューヨークで活動を
続けている。
 「考え方や態度な
ど、『ほぼ日』代表の
糸井重里さんから影
響を受けています。
好きなことは、アイ 業とリモートでプロ
デアを考え、実現す ダクト・グラフィック
ること。嫌いなこと を含むデザイン関連
は戦争です」 のインターンを経験。 普段、スタジオで見
「徳島 佐野まひろ プロジェクト」や、幼
せないような面が表 現されていて、彼女 の中にある多様性を 感じます」 佐野「鑑賞者にポップ
「両親から受けた影響」 児向け教育アニメ  「小さい頃はマイペ「 」に携 ースで、周囲から『頭 わった。
の中はお花畑』と言 われていました」と 笑う佐野。  「土曜日は『パパと 一緒に工作とお絵描 きの日』と決まってい て、それが一週間のハ イライトでした。父 はとてもクリエイテ
 2022年5月、な第一印象を与える を卒業後、ニ 増田さんの作品です ューヨークでの活動を が、ひとつ一つにその 開始した。 思想が内包されてい  「私が最も影響を ると思います。知れ 受けたのは両親です。 ば知るほど、奥深い 彼らは本当に大切な モノが見えてくるの ものは何か、身を持 ではないでしょうか」 って教えてくれまし  一人で制作する場
を自身に問いかけた 結果、2年後には 同州のデザイン学校
品を制作=写真=。 と思います。コラボ 外から見えるものと、を通して増田さんの 内側に潜むものの共 ことを少しずつでも
へ転校、工 業デザインを専攻す る。在学中、日本企
存を描いている。 増田「まひろさんは、 いつも周りを笑顔に するような明るい性 格。ですが作品には、
知ることができて嬉 しいです」  ポップな作風の増 田と、プロダクトデ ザインも手がける佐 野。ふたりが生み出 した新たな世界観が 展開されている。
 今回、2人は「Lost タイトルでコラボ作




















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