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最低に沈んだばかりか、 韓国にさえ抜かれて久し い。内閣府が発表した直 近の数字では、世帯年収 が平均値の半分以下とい う貧困家庭の子どもが8 人弱に1人、 %を占め る。少子化だけが問題で はないのだ。2019年 の厚労省の調査では「生 活が苦しい」という人が
位、中国 位のはるか 後塵を拝している。  バブル景気の始まりか ら崩壊後の経過を通じ て、官邸・大蔵省(現財 務省)・日銀など日本の 政策当局の対応の遅さと 拙劣さが際立つ。企業を 含めて日本の納税者は不 幸だとつくづく思う。  バブル景気の発端とな るプラザ合意をいとも簡 単に受け入れたのが間違 いの始まりで、国際通貨 市場での円高誘導が見え 見えの協調介入の提案を 反論もせずに受け入れた だけでなく、竹下蔵相は
1000兆円減価し、株
と課題をグズグズ先送り しているだけで実際には
・4%に上った。所得 だけではむろんない。経 済成長率をはじめ物価上 昇率、長期金利など全て の指標で右肩下がりを続 け、1990年前後のバ ブル末期の数字を下回っ ている。低所得・低成長・ 低物価・低金利の「4低 時代」=「安い日本」と言 われる所以である。
 通常、融資への返済が
滞った場合、金融機関は
引当金を積み増す必要が
生ずるが、これが巨額に
上ると会計を圧迫して経
営上の自由が奪われ、対
外信用も損なわれるのを
嫌って、追い貸しなどで
債務返済が正常に行われ
ていると装い、引当金の
積み増しを極小化する努
力を最大限に展開した。 銀行、日本長期信用銀
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ど資産価格の急上昇を招 いた」と言っていたが、通   年5月から金融引 損失補填、利益供与、巨 行、日本債券信用銀行、 いたが、それを金融政策 達内容そのものに不備が 締めに転じていた日銀は、 額損失の隠蔽......など、 山一證券、三洋証券など への黄信号・赤信号と認 あったばかりでなく、自 年8月まで4度にわた 金融機関の不祥事が相次 の大手金融機関が相次い
 バブル景気の終焉は、  バブル期に約7割の占 1973年以来、オイル 有率で、日米半導体摩 ショックや世界同時株安 擦が起きたほど世界市場 などさまざまな危機や障 を圧倒していた日本製半 害を乗り越えて 年近く 導体の市場シェアは、 も続いた日本経済の安定 年にはアメリカ %、韓 成長期に終止符を打ち、 国 %、台湾 %から
識し行動するのを怠った。 らの想像力が極端に乏し 円高を冷静に受け入れれ 「あれよあれよ」と見送 かったことを認めたに等
「日本病」とも言われる 大きく引き離されて6% 「失われた 年」の出発 まで沈んだ。スイスの国 点となった。 際経営研究所が発表して  崩壊から 年余が経っ いるディジタル競争力の た現在、かつて世界中で 世界ランキングは、 年 「金持ち」と言われた日 に 位だ。東アジアだけ 本の姿はどこにもない。 を見ても、シンガポール 実質賃金は 7諸国の 4位、韓国8位、台湾
た。 年にタイを震源と し、東南アジア全域から 韓国にも広がった通貨危 機の影響も受ける。
国際ジャーナリスト 内田 忠男
り6%まで引き上げてい いで発覚する。景気が回 で破綻した。 た公定歩合を、 年7、 復すれば損失も回復でき  ここに至るまで、政府
「1ドル=190円まで は大丈夫」などと、余分 な啖呵まで切った。そこ まで自信があったのなら、
「市場から退場すべき企 業は淘汰する」との方針 に転じ、同年9月に兵庫 銀行が戦後初めて経営破 綻した銀行となる。 〜
行を数えた都市銀行 は、業績不振から合併に 走り、現在では4行に集 約されている。
ば良いものを、予測を上 るうちに、事態は「収束 しい。
回る急速な上昇に直面す 不能」を思わせるまで悪  通達にある不動産向け
ると、輸出企業への円高 化。すると今度は、冷水 投資の抑制は、「住専」と
の影響を緩和するためだ を一気に浴びせるという、 呼ばれた住宅金融専門
と言って、ためらう日銀 まことに不器用な施策で 会社や、農協系金融機 %とし、それから2年
要因となったが、日本経 代に100兆円を超え
を金融緩和に大きく舵を 応じたのである。 関を対象外としたため、 切らせ、巨額の財政出動  象徴的だったのが、前 不動産向けの投機資金が を伴う「緊急経済対策」 回の終わり近くに書い 一時的に農協系金融機関 を連発した。富裕層への た「総量規制」という大 から住専に流れ、住専は 大幅減税も敢行した。 蔵省銀行局長の通達だっ 住専で本業の住宅ローン  当然の結果として生じ た。当局者は「予想を超 以外の不動産投資に多額 たカネ余りが土地や株な える急激な景気後退を招 の資金を投入、これが焦
後の 年にも2度下げて
0・5%、事実上のゼロ
金利としている。けれど
も金利操作だけで変えら
れる事態ではなかった。 この間、日本政府の対
初の所信表明演説で「不 良債権処理の推進」を公 言。「聖域なき構造改革」 の1丁目1番地に位置 付けたが、金融担当相 にした大蔵省出身の柳沢 伯夫氏が何もしない。翌
「失われた 年」の出発点 際立つ対応の遅さと稚拙さ
年にかけてはこれがさ らに広がり、北海道拓殖
げ付いて、住専の不良債 権問題がまず表面化す る。その一方で、銀行な どは融資証明を出してお きながら、貸さない、あ るいは途中で融資を打ち 切るなど、貸し渋り・貸 し剥がしが常態化し、ハ シゴを外された多くの投 資家が金策の道を閉ざさ れて混乱が広がった。  総量規制が出たのは 年3月で、翌 年 月に 行った国土庁の臨時地価 調査で「全国的に横ばい ないしは微減」との結果 が出ると、 月 日にこ の通達は解除される。政 府部内のドタバタが忍ば れるではないか。
体の不動産価値は、
Too Lateと揶揄したが、 本意は、日本政府が懸案
年9月の内閣改造で竹 中平蔵氏を起用し、「金 融再生プログラム」の実 施でやっと決着が図られ たのだった。竹中プラン は賛否半ばするが、野放 し状態の不良債権問題に 終止符を打ったことは事 実だった。ついでながら、 改造の少し前に私がニュ ーヨークから一時帰国し た際、完工したばかりの 官邸に招かれて小泉さん とサシで対話した際、ウ ォール街で柳沢氏の評判 が悪いことを強く訴えた のが、少しは役に立った かもしれない。  結果として、最盛期に
、 月の3度0・5ポ イントずつ引き下げ、翌 年、翌々年も2回ずつ 下げて 年9月には1・
るとの期待感も、不良債 は急場凌ぎの資金注入を 権の損失処分を回避する 繰り返し、総額は 年
  年末時点で279
  応は緩慢を極めた。国際
7兆円とされた日本全
社会はこれをToo Little,
〜2002年までに
価を合わせると、バブル
崩壊で失われた総額は約
1400兆円とされる。 何もしていない、という
 日本経済不振の原動
力となったのは、銀行は
じめ金融機関が抱えた巨
額の不良債権と、その処
理をめぐる不手際だった。 のうち6社の破綻には目
済は回復に向かうどころ た。 年4月に総理にな か混迷の度を深めて行っ った小泉純一郎氏が、最
非難の合唱だった。  政府は当初、「大手金 融機関は破綻させない」 という方針で、住専7社
をつぶり、そこに多額の 資金を融資していた銀行 と農林系金融機関には公 的資金を注入するなどし ていたが、 年ごろには
(つづく)




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