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[ 5 ] 08/19/2022 YOMITIME・WWW.YOMITIME.COM・info@yomitime.com・
 「まほろば」の制作に没頭する故・加藤氏(2015 年撮影)
アトリエ・ヒロ代表の加藤友子氏 作品「時の流れに」の前で
■8月23日(火)~30日(火)
 火~土 11:00am ~ 6:00pm 日月休廊 ■オープニングレセプション:
 25 日(木)6:00pm ~ 8:00pm ■会場:Agora Gallery:530 W. 25th St. ■ Tel:212-226-4151 ■入場無料
■ https://www.agora-gallery.com
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  故・加藤弘光氏の傑作披露 「蘇らせる」それが私の使命
アトリエ・ヒロ代表 加藤 友子
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ればと考えました」 象を受けました。加  同展コンペの審査 藤は団体展所属の作 は画像のみで行われ 家でしたが、当時は たこともあり、「日 息苦しさを感じてい 本画として選出され たこともあり、自分 たのか?どこが評価 の描きたいものを求 されたのか?展示会 めて模索していまし 場でオリジナルを見 た」 た審査員に聞きたい」  内に秘めた大きな
筆を持ち込み、日が 暮れるまで出てこな かったそうだ。  「とにかく絵を描 くために生まれてき た人で、『絵を描く 時間だけが自分の世 界に居られる』と話 していました。繊細
言われたそうだ。「と  「彼の桜は花びら を現代絵画に昇華さ 数も要求される。「彼 にかく彼は、若い頃 だけ。今までに誰も せたと考えています」 が目標としていたガ から『異端』だったん 描いたことがないよ  ある個展で加藤は ゴシアンでの個展を ですよ」と、友子代 うな桜に、『いいんじ 来場者に、「どう思 実現することが私の 表は微笑む。 ゃない』と答えたこと われましたか?」「何 使命。ある方に『彼
日まで)に、日本 画家の故・加藤弘 光(享年 )の作品
◇ を覚えています。そ を感じましたか?」を蘇らせているのね』  加藤が晩年、好 の後も何かに取り憑 と尋ねているのを目 と言われました。嬉 んで描いていた「桜」。かれたように桜を描 撃した友子代表。最 しい言葉であると同 以前は「桜は日本 き、それも白黒を基 初はその行為に違和 時に、責任を感じた 画で描き尽くされ 調とした世界。絵を 感を感じたという。 瞬間です」 てるから俺は描か 観た時、これは『鎮魂』  「私は加藤が『訴  加藤は生前、「私 ない」と断言してい なのだろうと気が付 えたい・表現したい の作品は評価を受け た彼を変えたのは、 きました。加藤も『、描 ものを描いた』と思っ るまで何百年かかる 2011年の東北大 かされた』と話して ていました。ですが、 かわからない」と話
「光さやけみ(英題
TheAutumnLight)」 が出展される。今回、
と続ける。  生前、活躍の場を 海外に広げたいと考 えていた加藤。現状 を見ようと、夫妻は アートのメッカ、ニュ ーヨークを訪れたこ とがあった。
パワーがあり、すべ で家庭環境にストレ ての人々を惹きつけ スを感じることもあ
未亡人で加藤の作品 を管理するアトリエ・ ヒロの代表、加藤友 子氏が来米する。  「『浮世絵』は世界 的に知られていますが、
る街。加藤は、「ニュ ーヨークから新たな スタートが出来れば」 と考えていたという。 ◇  子どもの頃、加藤
り、自分の世界に浸 れる時間が欲しかっ た、絵が唯一の救い だったと思います」  加藤が好んだのは 江戸中期の画家・伊 藤若冲。「若冲が好 きだ」と話すと「お前 は変わりもんだ」と
震災だった。 いましたね」  「宮城県出身の加  人々の魂を慰める 藤は震災にとても心 こと、それが加藤が を痛めておりました。 桜を描く際の一貫し 同年 月に個展を行 た想いだった。
『絵は作家の手を離 していたという。 れると、各々が自ら  「彼は私に、『バト を語り始める』とい ンは渡した、あとは う彼の言葉を聞いて 頼む』ということだっ 納得。絵は鑑賞者の たのでしょう。日本 もので、そこから何 人の感性で見た日本 を感じるかは各自に の美しさ、何千年に 委ねられる。作品が、 渡り育まれてきた心、 観た人々に語りかけ 歴史、その美しさを
『日本画』についての  「アートに限らず、 は母から保育園へ行 認識は、あまり深く ニューヨークはゼロか くように促されると、 ありません。出展が らでもマイナスから 「絵が描けなくなる 決まった瞬間、まず でも、すべてを創造 から嫌だ」と拒絶。
ったのですが、準備  今回の展示作「光
中に『俺、桜を描い さやけみ」にはもう
ちゃったよ』と言うの ひとつ、加藤の想い
です。見せてくれた が見える。燃えるよ
のが『昇華』でした」 うな「赤」は何を語る るのです」 創った神への感謝、そ  桜に限らず樹木 のか。鑑賞者を惹き  2019年2月、れらすべてが絵に込 は、地面から幹が生 つける「赤」は、加藤 スペインでの個展を められています。少 え、枝が伸び、葉を の内に秘めた情熱の 成功させた加藤。次 しでも多くの人に日 茂らせ、花をつける、表れであり、「描き は、ニューヨークの「ガ 本画を知ってもらえ
『日本画とはどのよ できる場所。ここで 罰として土蔵に入れ うなものか』という 認められれば世界に られたが恐怖心を覚 点を海外で伝えなけ 出ていけるという印 えることなく紙と鉛
というのが一般的な イメージ。しかし加 藤の「桜」は違ってい た。さらに多様な色 を巧みに使い分けて いた作風も変化して いた。
たい」という叫びだ。 ゴシアン・ギャラリー」る機会にしたい」
   「加藤は、赤や金 での個展を目指して
 友子代表は、「世界 の巨匠になる」という 加藤のバトンを受け 取り、ゴールを目指す。
箔の使い方で画面が いた。 のように迫って  「個展を行うなら
くる独自の技法を編 『1枚足りない』と み出しています。斬 言い出して取り組ん 新で独自性、日本画 だのが2019年の
(敬称略)
『月光』、加藤の遺 作になった桜の絵で す。完成させた時『、も う個展の準備は揃っ たよ』と私に伝えて きました」  海外の展示会では、 秀作であるだけでな く、サイズや作品点
























































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