Page 9 - Yomitime416
P. 9

[ 9 ] 02/25/2022 YOMITIME・WWW.YOMITIME.COM・info@yomitime.com・
 忘れていた大切なものを
 呼び覚ますような絵を
画家 藤本まり子
  YAMAKAMI MINAKAMI, Acrylic on canvas / 18×24inch / 2021
 Looking at the very distant sky right there, Acryl and crayon on canvas/ 63.7×51.1 inches / 2021
■ 3 月 1 0 日( 木 ) 〜 1 9 日( 土 )  オープニングレセプション:
 14 日(月)6pm 〜 8pm
■会場 : Tenri Cultural Institute Gallery  43A W. 13th St.
O K
Boundaries of KANON
1 9
★藤本まり子:
 instagram.com/mariko_fujimoto
AF CE
「感覚を共有したい」と話す藤本まり子
10
2020
                                                                                                                           「子どもの頃、野外
で捕まえた昆虫や生
き物、友人や家族が
いる風景をよく描い ていました。両親が、てる!』と言われる 自然や生き物を好き
方法』を学び、目指 しています」  藤本は自身の作品 について「日常的な風 景を、独自の『フィル ター(空想)』を通して 描いている」と表現。
気がする』と感じて 貰いたいです」  来米後は主に、人 物にフォーカスを当て た作品が中心。鑑賞 者が絵を観るのと同 様に、絵画の中の人 物もまた、「鑑賞者を
だったことに影響され
たのだと思います」と
話すのは、ブルックリ
ンを拠点に活動する
画家、藤本まり子。 っていた。その何気な 東京生まれ、両親と い行為は、藤本が「絵 妹2人の5人家族で を仕事にするくらい、 育った藤本の子ども 好きであり続けられ
関連の職業しか知ら なかったが、その記事 をきっかけにファインア ート・コースに変更。 高校卒業後は、多摩 美術大学へ。同大絵 画学科油画専攻卒業 後、東京でいくつかの
選出する「
りたいことを続ける』  「日常の景色に『物
時代は、「少し気が ている」ことに繋がって アート関連プロダクシ 弱かった」と打ち明け いった。 ョンで経験を積み、腕 る。自分が描いたモ  「ファインアート」を を磨く。2016年 ノを家族や友達が喜 意識したのは高校2 には、国際的に活躍 んでくれたことが絵 年の時。教師の勧め するきっかけ作りを を好きになったきっか で通い初めた美術系 目指す「アクリルガッ
◇  昔から「絵本を読 むことが好き」だとい う藤本。影響を受け た作家にディック・ブ ルーナ、エリック・カ ール、レオ・レオニを あげる。「絵や物語 も好きですが、グラ
ランスなど、『共存の『この感じ、知ってる
覚、それこそが藤本 の示す「共感」の片鱗 だろう。
 3月 日(木)か ら 日(土)まで、 天理ギャラリーで開 催されるグループ
けだ。「似顔絵が『似
予備校で現代美術の シュビエンナーレ」(主 特集記事を目にした。催:ターナー色彩)フィック・デザイナー それまではデザイン で、2020年には、 から転身し、絵本作
と、とても嬉しかった ことを覚えています」。 そんな少女が描いた 絵を、両親や祖父母 は、家の壁にずっと飾
真に力がある作品を 家になったという、『や
展「Boundaries of KANON」に参加。展
損保ジャパン という姿勢に感銘を 語性』を持たせること。 見ている」というイメ 日本興亜美術賞」(主 うけました」。その他、『物語』は日常をド ージで描くことが多い 催:公益財団法人 ミヒャエル・ボレマンス、ラマティックに変化さ という。「描きたい作 損保ジャパン日本興亜 ピーター・ドイグ、サイ・ せ、鑑賞者に『共感』 品のイメージが湧き、 美術財団)で、それ トゥオンブリー、松山 を呼び起こします。ここからどう仕上げ ぞれ受賞。昨年7月、 智一、五木田智央、鴻 根本にあるのは、私 ていくかを考える時
ニューヨークでの活動 を開始させた。
池朋子などのアーティ の感覚を『共有した 間が楽しい。人物の ストにも影響を受け い(して欲しい)』とい 顔、特に目を詳細に た。「作品のコンセプ う想い。自分が経験 描きこんで、絵から トと美しいビジュアル、し考えたことを『絵』 が出た時も嬉し 特に人物を含めた具 に置き換えることで、いです」。絵から「観 象と抽象の絶妙なバ 皆さんに『わかる!』 られている」という感
覧会に出品した絵が 完売するほど良い作 品を描けるように、 さらに、自らマネー ジメントができる様 になることが当面の 目標だ。  「美しい自然や芸 術に触れ感性が研ぎ 澄まされた時、忘れ ていた大切なことを 思い出す...そのきっか けになるような絵を 描きたい」





















































   7   8   9   10   11