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自由に巡る、写真の迷宮
浮かび上がる唯一無二の「人間の姿」
「ダイアン・アーバス:星座」
2025年7月25日号掲載|4
20世紀を代表する写真家の一人、ダイアン・アーバス(1923〜1971年)の作品を一堂に集めた大規模展「ダイアン・アーバス:星座(Diane Arbus: Constellation)」が8月17日(日)まで、パーク・アベニュー・アーモリーで開催中だ。彼女が生前にプリントしたことが確認されているモノクロ写真454点が展示されている。

独創的で影響力のある写真家として評価されるアーバスは、社会の枠外に生きる人々を捉えた、率直で記録的なスタイルで広く知られている。何十年もの間、彼女の革新的な芸術性は、見慣れないものへの関心を映し出すような象徴的な写真を通して、多くのアーティストに影響を与えてきた。
今回、展示された写真は、アーバスの死後、写真家のニール・セルカーク(1947年〜)がそのプロセスを解明、彼女のネガからプリントしたもの。彼は、アーバス財団からネガ使用を許可された唯一の人物だ。セルカークは、アメリカを拠点に活動していた日系人写真家のヒロ(若林康宏、1930〜2021年)のアシスタントとして働いていた頃、ヒロが所有していたアーバス作品に衝撃を受け、アーバス本人と出会うきっかけに繋がっていった。
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作品は、アーモリーの広大なドリルホールに設置された黒い格子状のパネルに、異なる高さで浮かぶように配置。整然と並べられ順を追って「観る」ギャラリースタイルとは異なり、上へ下へ、左へ右へ、手前へ奥へと自由に目を向け、「もう一度、観る」ことを促すと当時に、作品と鑑賞者、環境、空間を繋いでいる。
個別に存在する「星」を、繋げることで生まれる「星座」。鑑賞者はドリルホールに配された「星々=作品」を自由に巡り、自分だけの「星座=道」を見つけ、「関係性」や「物語」を見出すことで独自の世界観を広げる|そんな願いが展示タイトル「星座」に込められている。
Diane Arbus: Constellation
■8月17日(日)まで
■会場:Park Avenue Armory / Wade Thompson Drill Hall
643 Park Ave.
■$25
■https://www.armoryonpark.org