2018年7月13日号 Vol.329 | |
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SDGsと健康(長寿)のオイシイ関係先日、僕と同じく文部科学省の奨学金「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」で米国に留学した学生の考案した弁当が、マンハッタンのど真ん中で販売されていると耳にして、「べんと・おん・カフェ(BentOn Cafe)」に足を運んでみた。店内に飾られたパネルには「私のお弁当を食べて長寿に(筆者訳)」の文字。「これは僕が研究している持続可能な開発目標(以下SDGs)とも関係があるぞ!」と松田聖子並みにビビビッと来たので、その活躍を紹介したい。考案者は、安永麻紀(やすなが・まき)さん。日本が長寿大国である理由のひとつが、その食生活にあるのではないかと考えた安永さんは、味の濃淡にメリハリをつけながらも栄養バランスの取れた「一汁三菜」という伝統的な日本の献立を米国で広めたいと留学を決意。「お弁当を通じてすべての人に健康を届けること」をテーマに、昨年6月から8ヵ月にわたり、留学生活を送っていた。 一般的に濃い味付けが好まれる米国でも通用するものを模索するため、大学の授業でアンケート調査を実施。日本人と米国人の栄養摂取量の違いにも配慮するなど、「弁当の開発には大きな苦労もありました」と話してくれた。 店内には、そんな安永さんが考案した多くのメニューが並ぶ。例えば「鶏ごぼう弁当」には、一食あたりに必要な栄養素に加え、一日に摂取することが必要な食物繊維の50%が含まれている。つまり、データに基づいて科学的に栄養バランスを計算しているのだ。高血圧など生活習慣病になってから考えるのではなく、日ごろの生活に少しの変化を加えることで、日々の健康を保つことができ、最終的に長寿へとつながる。弁当のキャッチコピー「ベネフィット・オン(Benefit On)」にも、お弁当を食べることによって得られる健康上の利点(benefit)が、体の中で続き(on)、長寿につながってほしいという思いが込められているとのこと。「健康」や「長寿」は、まさにSDGsのゴール3「すべての人に健康と福祉を」に直結している。 SDGs達成に向けた行動と聞くと「自分が誰かのためにしてあげること」を探しがちだ。ところが、自分の健康を維持するといった「自分の幸せのためにすること」を見つけて実践することもSDGs達成に繋がる。今まで何気なく買っていた弁当も、SDGsゴール3のアイコンと健康を意識しながら選んでみると、ますますSDGsが身近なものであると感じるのではないだろうか。(燒リ超)
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