2018年6月15日号 Vol.327
ニューヨーク留学体験記

SDGsは身近な「自分ごと」

先日、僕の専門である持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:以下SDGs)や評価学について話す機会があり、「SDGsという言葉は聞いたことがあるけれども、よく分からない」「自分たちに関係あるのか?」「私はどうしたら良いの?」という声を多く耳にした。いきなりSDGsと言われても、何のことか実感が沸かない方が、むしろ自然だろう。
次の日、僕は家の鍵を部屋に置き忘れたまま、オートロックのドアを閉めて颯爽と出勤した。もちろん鍵が無いので帰宅しても家に入れない。そんなこんなで、体育座りしながら大家さんの帰りを待つ時間が3時間もあったので、色々考えてみた。その結果、「 『あいうえお作文』で考えれば、なんだか分かりやすいぞ」という結論に至ったので紹介したい。
SDGsとは、「S=すぐに」「D=どうにかしないといけない」「G=自分(じぶん)ごと」が集まったもの。
ああ、我ながらよくできている。東国原・元宮崎県知事さながら、今すぐ宮崎県産マンゴーを片手に、「県民のみなさん! すぐに『どげんかせんといかん』自分ごとが集まっているのがSDGsなんですよ!」と言って、選挙に出たい気分である。それでも、「自分ごとって何?」という方に向け、ニューヨークでの休日を例に挙げて説明しよう。
SDGs、つまり「世界を変えるための目標」は17ある=図=。マンハッタンを10分も歩けば、SDGsを用いて解決しようとしている課題を意識することができる。路上生活を余儀なくされた人々に出会えば、ゴール1「貧困をなくそう」を、5番街で買い物をすれば、強制労働・児童労働を撲滅するゴール8「働きがいも経済成長も」の条件を満たして作られた商品かどうかを考える機会になる。こうして徐々に17種類の「SDGsのアイコン」が街にあふれる幻覚が見え始めたら、次は行動に移そう。スーパーのレジで提供されるビニール袋を断り、お気に入りのマイバックに商品を入れて持ち帰れば、ゴール12「つくる責任つかう責任」が、エアコンや蛍光灯の消し忘れをなくせば、ゴール13「気候変動に具体的な対策を」に貢献できるのだ。カフェで自分のタンブラーを差し出し、短時間でシャワーを浴び、風邪を引かない程度に髪を自然乾燥させれば、SDGsを意識した一日の完成だ。
SDGsは、「国連が掲げる遠い世界の話」などではない。私たちが、今すぐ実践できる「すぐに、どうにかしないといけない、自分ごと」なのである。(燒リ超)





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