2018年4月13日号 Vol.323
ニューヨーク留学体験記

「僕が留学する」という
 国家プロジェクト?!

「評価学マスターに、俺はなる!」。そう意気込んで、僕は評価学の本場アメリカにやって来た。もうポケモンマスターを夢見るほど若くない、実用的な学問を学ぶ大人になりつつあるのだ。ああ、日本の2倍近い価格を誇るニューヨークのラーメン屋で「替え玉ください!」と、さわやかに言えるくらい余裕のある大人になりたい……。
危なく現実逃避するところだったが、僕は国際公務員になるために地方公務員を辞め、日本の大学院に進学。そこから留学の機会を得て、現在、ニューヨークにある大学の付属機関で評価学を学びながら、国連の関係機関でインターンとして経験を積む日々を送っている。
こんな僕の留学が実現できたのは、文部科学省が主導する「トビタテ! 留学JAPAN日本代表プログラム(以下、トビタテ)」という海外留学支援制度のおかげだ。
トビタテは、月々の生活費や渡航費、授業料の一部等を支給してもらえる返済不要の奨学金で、高校生から大学院生まで幅広く応募の機会が与えられている。留学期間は、28日以上2年以内で必要な期間を自分で設定して応募できることも魅力だ。
トビタテが何より画期的なのは、交換留学など単位取得を前提とした留学だけではなく、インターンシップやボランティアなど、学校に通わない多様な活動も対象になることだ。ニューヨークにも、多くの若者がトビタテの支援を得て留学しており、企業や国際機関でインターンシップをしたり、アートやダンスを学んだり、スポーツ留学をしたりと、十人十色の活躍を目にすることができる。風の噂では、自分で開発した弁当を販売する学生もいたと聞く。
僕の場合は、「留学中に学んだ評価学の専門性を活かして国際機関で働きたい」「最新の評価学に関する知見を、日本の企業や自治体へ還元したい」という目標があった。トビタテの選考で、その熱意が伝わり、採用して頂いたのだと思う。
もし、両親の仕事などでニューヨークに住んでいるけれども、来年から日本の高校や大学に通うかもしれない…という学生がいたら、この制度で再び世界へ飛び立つチャンスがあることを覚えておいてほしい。
ただし、ラーメンにチャーシューをトッピングしようか10分ほど悩んだあげく、やっぱり諦めるほど高いニューヨークの物価を考えれば、トビタテの奨学金だけに頼るのではなく、多少の貯金があるほうが安心して留学生活が送れるだろう。これは、手頃な値段に惹かれ、日々チキンオーバーライスの屋台に通う僕から「あなた」に送ることができる唯一のアドバイスである。 つづく。(燒リ超)


「トビタテ」事務局から参加者全員に支給されたTシャツ(Photo by Kosumo Takagi)



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