Advertisement
藤井 千聖 Chisato Fujii
「ダンスは私の言葉と存在」
ダンサー、振付家
・出身:富山県
2025年11月28日号掲載|12

★5歳で始めたバレエ
近所にピンクの外壁にバレリーナの絵がたくさん描かれたバレエ教室(松岡ジャズバレエ研究所)があり、幼稚園の送迎のたびに「あそこに行きたい」と母にせがんでいたようです。うるさかったのでとりあえず体験レッスンに連れて行ってもらったのが始まりでした。ダンス教室とは思わず、絵がたくさんある楽しい場所だと思っていたのだと思います。初めての体験レッスンでは、ひまわり柄の黄色いワンピースで出かけ、ストレッチもできないのに、できたつもりでついていきました。終わったあと母に「すごく楽しかった!」と言ったらしく、それで通うことになりました。踊りを理解する前から通っていたので、気づけば生活の一部になっていました。
★NY州立大学パーチェス校入学、ニューヨークを拠点に
高校卒業までは週4~5回バレエとジャズのレッスンを受け、2年に一度の定期公演にも出演していました。コンクールでは良い結果は残せませんでしたが、幼い頃から劇団四季や東京バレエ団に憧れ、踊りの道に進みたいと自然に思っていました。高校時代に来米し、Ailey IIの「Revelations」を観て強く感動!「私のしたいことはこれだな」と気づいたのが転機でした。高校卒業後はコロナでどこの学校にも入学できず、ダンス教室も閉まり、自宅で動画を見ながら踊っていました。「日本でプロとして踊る」という選択肢はなく、ダンサーの地位や文化背景、自分の実力も踏まえて大学で学び続けたいと思うようになりました。心を動かされたのはアメリカです。そこでアメリカのダンス学部への進学を決意し、諸条件を考慮してパーチェス校を選択。結果として、ダンス教育や舞台環境が整ったニューヨークに来られたのは幸運でした。
アメリカでダンサーが活動しやすい地域といえば、ニューヨークかカリフォルニアですが、ニューヨークはシアター系、カリフォルニアはコマーシャル系が強いことで知られています。私の踊りはシアター系なので、大学を卒業したニューヨークこそ自分が勝負できる場所だと思い、そのまま拠点としました。プロのダンサーを目指したのは幼い頃ですが、振付師になりたいと思ったのは大学時代。作品をつくる授業で、自分の世界を形にして表現する面白さに強く惹かれました。振付を通して自分の表現が他の人に伝わると、新しい言語を手に入れたような感覚になり、世界とつながれた喜びを感じます。そんな理由から今も振付を続けています。
Advertisement
★「ダンス」の意味と表現のこだわり
他者がいなくても、ダンスはそこに存在するだけで素晴らしい芸術だと考えています。私はその芸術の世界にありがたく居させてもらい、そこでの言語を学んでいます。つまり、私にとってダンスとは言語であり、自分の言葉です。口では表せない複雑な感情や思考も、ダンスを通せばありありと伝えられます。そして、ダンスという共通言語があれば、どんな人とも繋がることが出来るのが醍醐味だと思っています。
ダンスの世界では、観客の存在によって作品や世界が成り立ちます。そのため、私が振付を行う際に最も考えるのは、どうすれば観客の心を動かせるかということ。そのためには、わかりやすさが重要だと考えています。作品のストーリーや踊り手の表現、振付そのものがわかりにくいと、作品と観客との間のコミュニケーションが途切れてしまう。だからこそ、私は観客の方々を最も大切にしています。
目標は、人の心を動かせるダンサー・振付師になること。Ailey IIの舞台を見て人生が変わったように、私の踊りや作品が他の人の人生の良い転機になれば、それ以上の喜びはありません。そして、死ぬまで踊り続けたいと思っています。

★これからの挑戦と公演予定
2026年3月には、人の誕生と世界への冒険を描く30分超のソロ作品に初挑戦します。小道具や演劇的要素も多く、そこに注目してほしいです。
5月のGreen Space公演「Take Root」は、原始的な本能や個性の受け入れをテーマにした5人のグループ作品です。ダンサーたちがおしゃべりやゲームを楽しむ、没入感のある楽しい舞台になる予定。楽しんでいただけたら嬉しいです。
■2026年3月26日・27日:@Green Lung Studio 振り付け、ダンサーとして出演
■2026年5月14日〜17日:「Take Root」@Green Space 振り付け担当
藤井千聖 Chisato Fujii
https://chisatofujii.wordpress.com/
https://www.instagram.com/ch1sat0_/