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2025年6月20日掲載
満ちる角、語り継がれる暦——夏空を見上げる夜
2025年7月10日(木)、7月の満月「バックムーン(Buck Moon)」が東の空に昇る。ピーク時刻は午後4時37分(米東部時間)だが、この時点での月は地平線の下にあるため、観測は日没後、南東の空を見上げるのが適している。

「バックムーン」という名称は、この時期に雄ジカ(buck)の角がもっとも成長することに由来する。角は毎年生え変わり、年を重ねるごとに大きく、たくましくなっていく。
この名称は、1792年創刊のアメリカ最古の年鑑「オールドファーマーズ・アルマナック(The Old Farmer’s Almanac)」が伝えてきた、先住民や植民地時代の自然暦に基づいた伝統的な満月名のひとつ。
ただし「バックムーン」という英語名は、先住民がそう呼んでいたわけではなく、各部族の自然観や季節感に基づいた満月の名を、後世の英語話者がまとめたもの。例えば、アニシナアベ族では「ベリームーン(Berry Moon)」、ダコタ族では「チョークチェリーが熟す月(Moon When the Chokecherries Are Ripe)」といった名称が伝えられており、これらはもともとそれぞれの言語で使われていた言い回しを、後に英訳・記録したものである。
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ニューヨークで満月「バックムーン」を楽しむために
「満月」とは、月が完全に照らされる正確な瞬間のことで、2025年7月10日午後4時37分(EDT)がその時刻にあたる。この時刻を挟む前後1~2日間は、月の輝きが99%以上となり、実際には満月のように明るい月を楽しむことができる。天気予報をチェックし、「満月」の日が曇りや雨の場合は、その前後の「ほぼ満月」を狙おう。
★観測ポイント
・日没後、午後8時30分ごろから南東の空を注視すること。満月のピーク時刻は日没前のため、昇り始めが見どころ。
・観測場所はなるべく開けていて、建物や高い木で視界を遮らないところを選ぶ。
★観測おすすめスポット
①ブルックリンブリッジ・パーク(DUMBO)
東河岸に位置し、南東の視界が開けているため、月の昇る様子が観測できる。マンハッタンの夜景を背にした撮影も可能で、写真愛好家にも人気のスポット。
②ルーフトップバー
高層ビルの屋上にあるバーは、遮るものがなく、満月の観測に最適。南東方向の視界が良好な場所を選び、夜景と満月の両方を楽しもう。
③ガバナーズ・アイランド
マンハッタンの南に位置し、都市の光害から離れて比較的暗い空が望める。視界を遮る建物も少なく、自然のなかで月光を楽しみたい人に最適。
④セントラルパーク・グレートローン
マンハッタン中心部にある広大な芝生エリアで、周囲の樹木の隙間から満月を見ることができる。アクセスの良さから手軽に訪れやすいエリア。
⑤ロングアイランドシティ・ハンターズポイント・サウス公園
イーストリバー沿いに位置し、南東の空が広く開けている。ニューヨークの夜景と満月を同時に楽しめるスポットとして知られている。
ニューヨークの喧騒の中でも、満月の光は静かな存在感を放つ。街の灯りと共に夏の夜空を見上げ、特別なひとときを過ごしたい。
2025年7月:月の満ち欠けスケジュール(米東部時間)
■上弦の月(First Quarter):7月2日(水)午後3時30分
■満月(Full Moon):7月10日(木)午後4時37分
■下弦の月(Last Quarter):7月17日(木)午後8時38分