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「ルート66」100周年
全米を練り歩く「リアル」な魅力
「べんてんや」
2025年12月19日号掲載|17
今やどこにいても、世界中の情報を入手できる。同時にAIの普及によって情報操作が容易となり、真偽の判断は、受け手に委ねられる。宣伝方法も多様化し、SNSを通した独自発信はフォロワーを増やせばマスメディアよりも力を持つ。3億人近いフォロワーがいるテイラー・スウィフトの影響力は計り知れない。

そんな中、時代を逆行するかのように全米を練り歩く日本の「宣伝屋」が注目されている。170年以上の歴史を持つ日本の伝統文化「ちんどん屋」を軸にしたパフォーマンス・グループ「べんてんや」だ。
べんてんやは2008年、愛知県で初声をあげた。ちんどん屋としては非常に珍しく女性のみで編成される。カラフルなウィッグや鮮やかな着物で、ポップで華やかビジュアルは魅力の一つだ。全盛期の1950年代には、数千人のちんどん屋が存在したと言われるが、今ではプロのちんどん屋は全国でも30組程度に減少した。
「ちんどん屋の最大の課題は、担い手の減少と認知度の低下です。職業としてのイメージがまだ十分に理解されていないと感じることもあります。担い手を増やすには、日々の現場を広げて売上と利益を伸ばしていくことが大切で、現場が増えれば人材が育ち、利益が増えれば次の成長につながります」とべんてんやの親方、スージーは分析する。
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そんな苦境を脱するべく、べんてんやは2015年のイタリアを皮切りに、ウクライナ、ベトナムなど海外に活動を広げた。2019年10月には初のアメリカ大陸横断ツアーを実現。メンバーのマーサが10年住んだニューヨークを振出しに、シンシナティ、シカゴ、ラスベガス、ロサンゼルスを巡業。邦楽・洋楽・オリジナル500曲以上のレパートリーを持つ「歩くジュークボックス」は、練り歩くだけでなくステージでのショーもこなし、伝統とポップカルチャーを融合。観客と積極的に交流しながら場を盛り上げ、初めてでも楽しめる「一体感」を生み出すスタイルは、訪れる先々で好評を博している。

パンデミックによりライブ活動の休止を余儀なくされたが、2021年にオリジナル曲を含めたデビューアルバム「千客万来」を日米同時リリース。2023年9月には、アメリカの歴史・文化・自由の象徴として最も有名な道路「ルート66」をテーマにしたドキュメンタリー映画の制作に着手、日米文化交流プロジェクトをスタートさせた。
今なおアメリカンドリームを体感しようと、世界中から大勢が訪れる「ルート66」。イリノイ州のシカゴとカリフォルニア州のサンタモニカを繋ぐ全長約2448マイル(3940キロメートル)のこの道は2026年、100周年を迎える。
「ルート66はアメリカの象徴で、2026年は歴史的な節目です。この大きな年に、日米の文化交流をより深める役割を担うことに使命感を感じています」と語るスージー。2024から25年には6回に渡るアメリカツアーを行い、50回近くの公演を通じて地元のアメリカ人と交流を深めた。

そんな中、べんてんやにアメリカから出演オファーが次々と舞い込んでいる。うち一つは、春に開催される「全米ルート66・100周年記念キックオフ・フェスティバル(詳細別記)」。日本では想像できないが、1万7千人収容のスタジアムでのステージが待っている。
インターネット配信やバーチャル文化が世界をけん引する今、求められるものは「リアルを体感させてくれるもの」だという確信がある。べんてんやは「海外で活動するちんどん屋」というだけでなく、日本文化の伝承者として、また、新しい宣伝スタイルを体現できるパフォーマーとして、さらなる快進撃を続ける。(河野洋)
National Route 66 Centennial Kickoff Celebration
★べんてんや出演日(キックオフ・コンサート)
■ 2026年4月30日(木)開場4pm
■会場:Plaster Stadium, Missouri State University
1015 E Grand St, Springfield, MO
■ チケットTBA
■パレード: 2026年5月1日(金)
■https://route66centennial.org