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恐竜絶滅から生態系の再生まで
小惑星衝突が変えた生命の歴史
2025年11月28日号掲載|5
アメリカ自然史博物館(AMNH)で11月17日(月)から、新企画展「インパクト:恐竜時代の終焉(Impact: The End of the Age of Dinosaurs)」が始まった。約6600万年前の小惑星衝突によって恐竜時代が終焉、地球の生命が一変した出来事を、最新の科学的知見にもとづき紹介する。

展示監修は、同館古生物学部門の専門家5人が担当。生態系の崩壊と復活、そして人類の誕生へとつながる進化の道のりを、地質学・化学・古生物学の視点から総合的に描く。実物の化石や精巧な模型、没入型映像、インタラクティブな展示を通して、絶滅・生存・再生といったダイナミックな生命の物語を追う。
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インパクト前:豊かな白亜紀
小惑星衝突以前の地球は、陸海ともに多様な生命が繁栄していた。海ではモササウルスやプレシオサウルスが頂点に立ち、アンモナイトなどの無脊椎動物が豊富に存在。会場では全長27フィートのモササウルスがプレシオサウルスに襲いかかる模型=写真①=、モササウルスの歯のキャスト、実物のアンモナイト化石が展示される。

陸では、白亜紀末の北米西部の環境を背景に、トリケラトプスと新種角竜トリエラーチャンカスのジオラマが登場。トリケラトプスの指骨化石や皮膚のキャスト、小型哺乳類メソドマの巣穴を覗ける展示、白亜紀の動物の鳴き声を再現した音響など、多面的なアプローチで白亜紀の生態系を伝える。
インパクトその瞬間
本展ハイライトは、小惑星衝突の瞬間を6分間で再現する没入型パノラマ映像だ=写真②=。直径6〜10マイルの小惑星が時速約4万5千マイルでユカタン半島に衝突し、数十億個の核兵器に匹敵するエネルギーを放出。地震・津波・酸性雨・世界規模の火災が発生し、空は塵と煤に覆われた。

展示では、科学的証拠として境界層のイリジウム濃度、溶融岩のスフェルール(球状粒子)、衝撃石英、クレーター内部のコア、火災や洪水で死んだ生物の化石を紹介。6600万年前の大衝突による大量絶滅の過程と影響を伝える。
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インパクト後:再生と進化
地球は急激に冷却し、植物が枯死。草食動物とその捕食者も次々と姿を消し、地球上の個体数99・999%が死に、種の約75%が絶滅した。生き残ったのは地下や水中に避難できたカメ・カエル・小型哺乳類や、死んだ有機物を利用できる菌類・昆虫などだった。

展示には、衝突後の地表で繁茂した「シダだけの世界」が体感できるインスタレーションが登場。絶滅直後の環境を可視化する。
やがて、新しい植物・動物・生態系が急速に進化し、閉鎖型の熱帯雨林(木々の枝や葉が密に重なり光が地面まで届かない森)が形成。哺乳類は劇的に多様化し、空・海・樹上へと生活圏を広げ、巨大化する種も登場した。
会場では、史上最大級の陸上哺乳類パラケラテリウム=写真③=と、史上最小の哺乳類バトドノイデスに加え、巨大蛇ティタノボア、水陸両棲のアンブロケトゥスなどのモデルを展示。現在に繋がる生物の多様性を示す。
地球を守る未来への視点
地球には毎年多数の隕石が落下するが、破局的な衝突は極めて稀。しかし科学者たちは万が一に備え、危険な天体の監視と軌道変更技術の研究を続けている。会場では、こうした防御手段の方法も紹介している=写真④=。

地球史には恐竜絶滅を含め、5回の大規模絶滅が存在するという。「現在の地球には史上最多の種が存在するが、人類活動による気候変動や生息地破壊が、未来の大量絶滅を招く可能性がある」と、科学者たちは警鐘を鳴らす。
展示最後は、環境保護活動を紹介した映像6本と、生物の多様性とその相互関係を表現したコラージュ「Web of Life」(クレア・セレステ・ボーシュ作)で締めくくられている。
本展は、「過去の絶滅から学び、未来の絶滅を防ぐことが我々の責任である」と伝えている。
Impact: The End of the Age of Dinosaurs
■2025年11月17日(月)オープン
■会場:American Museum of Natural History
200 Central Park West
■大人$30〜、学生/シニア$24〜、3-12歳$17〜
■https://www.amnh.org/exhibitions/impact