よみタイム|2024年7月12日号・Vol.473デジタル版 & バックナンバーはこちら

メトロポリタン美術館で観るLGBTQ史

メトで観るLGBTQ史、特別ツアー開始
「もうひとつのメトロポリタン美術館」

年間約600万人が訪れるニューヨークの象徴、メトロポリタン美術館(以下メト)。同館コレクションからLGBTQの世界史を紐解く日本語ツアー「もうひとつのメトロポリタン美術館」(NY日系旅行代理店キュー・トラベル主催)の特別版が11月からスタートした。主に教育関係者やLGBTQの保護者を対象としたアカデミックな内容だ。毎週金曜催行、約2時間、要予約。

ハトシェプスト
①男装で国を治めた女性ファラオ、ハトシェプスト(All photos in the public domain)

年間約600万人が訪れるニューヨークの象徴、メトロポリタン美術館(以下メト)。同館コレクションからLGBTQの世界史を紐解く日本語ツアー「もうひとつのメトロポリタン美術館」(NY日系旅行代理店キュー・トラベル主催)の特別版が11月からスタートした。主に教育関係者やLGBTQの保護者を対象としたアカデミックな内容だ。毎週金曜催行、約2時間、要予約。

古代のエジプト・ギリシア・中国など、世界各地で同性愛は「人間愛」として普通に受け入れられていた。日本も例外ではなく、「男色」に関する最古の記録は「日本書紀」にまで遡る。古今東西、あらゆる時代、文明、地域が生み出した美術品や工芸品を多数収蔵するメトで、本ツアーは、LGBTQの歴史をアートの側面から探ろうというユニークな企画だ。

カラヴァッジョの「音楽家達」
②波乱な人生を送ったイタリア・バロックの巨匠カラヴァッジョの「音楽家達」(All photos in the public domain)

担当ガイドは、日本で初等教育学を専攻し、アートの修士号「Master of Fine Art」を所持するキュー・トラベル所属のHRS Happyman氏。

「メトには古代から近代まで、世界中の作品が揃っており、LGBTQの歴史を振り返るのに最適な場所です」と説明する。

ツアーでは、男性の恋人のために星座を作ったローマ皇帝ハドリアヌス、男装で国を治めた女性ファラオのハトシェプスト=写真①=、19世紀に恋人と共に城を買い、ライオンなどの猛獣を飼い、暮らした豪快なレズビアンの画家ローザ・ボヌールなど、超個性的なキャラクターを次々と紹介する。

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ルノアール
フランスの印象派画家ルノアールの「シャンパルティエ夫人と子ども達」にも意外なエピソードが(All photos in the public domain)

また、「ペドロの否認」等の作品で知られるバロック芸術の大御所・カラヴァッジョ=写真②=のように、自らのセクシャリティに向き合うことが許されなかったアーティスト達のエピソード、アフリカやオセアニアの民族の意外な風習などもカバー。歴史上、性的マイノリティのリーダー達がどのような形で文化に貢献したかを紹介。性の多様性と豊かさに対する驚きに満ちた内容となっている。

ヘンリー8世
「歴史上最も残虐な王」と呼ばれたイギリスのヘンリー8世の甲冑。彼が同性愛者達に及ぼした影響とは(All photos in the public domain)

教育者向けのツアー開催にあたり、新たに「アートの教授法(Visual Teaching Strategy、VTS)」を導入した。

「LGBTQが一般的にも認知されるようになった反面、アメリカはLGBTQの人権問題で大きく揺れています。図書館からLGBTQ関連書籍が消え、トランスジェンダーのケアに必要な医療アクセスなどがブロック。そのような大人達の一方的な決定に、最も影響を受けるのは子ども達です。歴史を振り返った時、優れたLGBTQのリーダーたちが目指した理想の社会とはどのようなものだったのか。子どもたちに接する機会の多い指導者や保護者の方々に、まずは観て、理解していただければと考えています」とHappyman氏。

古代エジプトからヨーロッパ絵画、オセアニアやアフリカなど幅広い地域・ジャンルを取り上げ、作品を眺めただけでは気づかない「隠されたセクシャリティー」を探る。アートを通して考える理想の社会とインクルーシビティ。新鮮な驚きと感動、そしてユーモアに溢れた唯一無二の「探検」だ。(協力:HRS Happyman)

日本語ツアー「もうひとつのメトロポリタン美術館」

  • 催行日:毎週金曜日6:00pm(約2時間)
    ※要予約/参加者最大6人まで ※別日程応相談
  • ツアー参加費:$50(1人)
    ※入館料別途(個人負担)
  • 申込み・問合せ(日本語):(担当:HRS Happyman)
    anothermet2023@gmail.com
カラヴァッジョの「音楽家達」

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