よみタイム|2025年7月11日号・Vol.497デジタル版 & バックナンバーはこちら

ブルックリン植物園「盆栽100年の歩み」歴史・文化・芸術が交差する庭

Advertisement

2025年6月27日号|2

日本から渡った樹木が始まり
歴史・文化・芸術が交差する庭
ブルックリン植物園「盆栽100年の歩み」

ブルックリン植物園(BBG)が誇る盆栽コレクションが100周年を迎え、これを記念した特別展が10月19日(日)まで開催中だ。同園の盆栽コレクションは、日本国外で一般公開されているものとしては最古かつ最大級のコレクションの一つ。期間中、未公開のミニチュア盆栽やツアー、ワークショップなど、多彩なプログラムが用意されている。

盆栽専用ミュージアム
①盆栽専用ミュージアムで魅力を語る盆栽ガーデナーのカストロ氏

1925年、コネチカット州の造園家アーネスト・F・コー氏が1911年に日本から輸入した樹木を寄贈したことから始まった盆栽コレクション。現存する「イロハモミジ(Acer palmatum)」、「カシワ(Quercus dentata)」、「アカマツ(Pinus densiflora)」の3本は、当時の姿を今に伝える貴重な存在だ。

Advertisement

1947年から1981年まで、初代盆栽キュレーターを務めたフランク・マサオ・オカムラ氏のもとでコレクションは飛躍的に拡大。熱帯・亜熱帯種を取り入れた多様性が確立された。

1950年代、同園はアメリカ初の盆栽ハンドブックを発行、盆栽教室も開講するなど、国内における盆栽普及の拠点となった。

季節限定の屋外展示
②季節限定の屋外展示

今回の展示エリアは主に3ヵ所。「スタインハート温室」内にある盆栽専用の展示室「CVスター盆栽ミュージアム」=写真①=では、400点を超える所蔵品の中から常時約30〜40点を公開。春は花もの、夏はトロピカル種、秋は紅葉、冬は針葉樹と、季節ごとに選抜した樹木を紹介する。

マグノリア・プラザでは、季節限定で屋外展示を実施=写真②=。青空の下、鉢に植えられた小さな盆栽と、実物大の樹木との対比が面白い。

ギャラリー(地階)
③ミサコ・ロックスによる漫画エリア (All Photos by KC of Yomitime)

ギャラリー(地階)では、オカムラ氏の足跡と盆栽芸術の奥深さを、グラフィックノベル作家のミサコ・ロックスが手がけた漫画で紹介=写真③=。加えて、1971年に制作されたオカムラ氏の記録映像(22分、修復版)もループ上映されている。

多くが樹齢100年を超え、今なお当初の鉢で大切に育成され続けているBBGの盆栽たち。盆栽ガーデナーのデヴィッド・カストロ氏=写真①=は、「盆栽には時間、環境、スペースが必要。でも、それ以上に、満足感と内なる平和が得られます」と、究極の魅力を語った。

100 Years of Bonsai
■6月14日(土)〜10月19日(日)
■会場:Brooklyn Botanic Garden (BBG)
 ※入園口3ヵ所:
・150 Eastern Parkway
・455 Flatbush Avenue
・990 Washington Avenue
■大人$22、学生/シニア(要ID)$16、12歳未満無料
https://www.bbg.org

100 Years of Bonsai

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

シェアする!