2016年7月8日号 Vol.281

歌で自分を表現したい
「one and only」目指して
ヴォーカリスト ERIKA


目を閉じてしまえば、希望の芽を摘まれてしまう。自分に正直に、今を生きることで挑戦し続けられる。ありのままの自分を歌う、ヴォーカリストERIKA。

幼児の頃にピアノを始めたERIKA。子供の頃から歌うことが好きだったが、高校1年の時、地元のカラオケ大会で2位になったのをきっかけに音楽がどっぷりと根を下ろした。
高校2年、運命の出会いが訪れる。クラスで隣に座ったピアニストは苗字が同じ松尾。意気投合した2人は、すぐさまオリジナル曲を共作した。
メンバーを加え結成したレディースバンドは、地元の雑誌にも取り上げられるまでになり、ティーンズ・ミュージック・フェスティバルでは自作曲で総合優勝。福岡で頂点に駆け上り、話題をさらった。
しかし、大学受験を境にバンドは解散。専門学校で音楽の勉強を欲したが、親の断固たる反対により涙の断念。音楽に何かしら繋がるかもしれない…という思いから、長崎外国語短期大学の英語科を専攻した。
卒業後は上京するつもりだったが、専門学校の授業料を支払うわずか1週間前に、ニューヨークで活動していたQuasimodoの平戸祐介と運命的に出会い、ERIKAは到着先を東京から急遽ニューヨークに変えた。
福岡からニューヨークへ。レコーディングを体験し、ゴスペルやジャズと言った本場の音楽を貪り聞き、ERIKAのアドレナリンは溢れ出した。
貯金が果てたERIKAは一旦帰国。実家には帰らず、高校時代からの無比の親友と6畳一間のアパートで2人暮らしを始めた。だが、その半年後、ルームメイトが突然の交通事故死。一心同体のソウルメイトを奪われたERIKAは、奈落の底に沈んだ。
親友との思い出が多過ぎる福岡を去り、知り合いもいない大阪に移り、バイトをいくつも掛け持ちしながら、お金を貯めたERIKA。暗闇の中で微かな光を求めて無我夢中でもがき苦しむ彼女の頭に刻まれていた言葉。それは「音楽」だった。
「ニューヨークで音楽を続ける!」その誓いを胸にERIKAは、親友の死という十字架を背負い、再び日本を離れる。
勇み足でニューヨークに来たものの、レパートリーはたった2曲、音楽理論も知らなかったERIKAは、深夜のジャズクラブを歌い歩いて朝になり、数時間後には授業に出ると言う過酷なスケジュールの中、シンガーとしての経験を積む。彼女は、ビンセント・ハーリング(サックス)が舵をとるジャムセッションに毎週通い、ヘレン・サング(ピアノ)など素晴らしいミュージシャンたちに可愛がってもらい、リアルで生きたジャズを学ぶ。
2003年、ニューヨーク市立大学シティカレッジを卒業。ジャズプロフェッショナル科、BFA博士号を取得した。
ジャズレジェンド、ロン・カーターが審査したシティカレッジのオーディション、あり金はたいて挑んだ浅草ジャズコンテストでの起死回生の優勝、憧れのマンデー満ちるとの共演、ベテラン・トランペッター、ジェームス・ゾーラーのCDへの参加、数え切れない挑戦と試練がERIKAをより強くし、ヴォーカリストとしての勲章を増やし続けている。
今やニューヨークではブルーノート、ジャズ・アット・キタノなど著名ジャズクラブで、日本では春と秋に各2ヵ月の全国ツアーを周るまでになったERIKA。昨秋は42ヵ所にも及び、ほぼ毎日のようにツアー移動をしながらステージに立った。
「私にとって理想のシンガーとは、歌で自由に自分を表現できること。その為には技術面も含めてもっと勉強が必要です。未だジャズシンガーと言える域には達していないのです」。ERIKAは続ける。
「沢山の人達と良いバイブレーションや波動を交換していきながら、私ならではの『one and only』な歌手になりたい。愛は人を魅了します。音楽から人生を学び、人生が音楽を成長させる。日々勉強です。だから、人間としても成長し、独自の世界観を追求していきたいのです」
力強い彼女の言葉は説得力に溢れ重みがある。
7月14日(木)、そんなERIKAが、ニューヨークの一流ミュージシャンを従えてステージに立つ。最新作の「ノスタルジア」からの曲を中心に「one and only」の歌を聴かせる。

目を閉じれば、 悲しみも思い出に変わる。ERIKAは体験した苦しみや悲しみを優しさで包み歌いあげる。
(河野洋)

Erika Matsuo Quintet
■7月14日(木)7:30pm/9:30pm
■会場:Club Bonafide
 212 E. 52nd St.
 Tel: 646-918-6189
■$15
clubbonafide.com



河野洋: 名古屋市生まれ。12歳でロックに目覚め、ギター、バンド活動を始める。89年米国横断、欧州縦断のひとり旅の後、92年NYに移住。03年ソロアルバムのリリースと同時にレコード会社、Mar Creation, Inc.を設立。現在は会社では、アーティストマネジメント、PR、音楽、映像制作などエンターテイメントに関連するサービスを提供するかたわら、「NY Japan CineFest」「j-Summit New York」などのイベントをプロデュース。その他にも、エイズ、3.11震災後の日本復興に関わるチャリティイベントや、平和、社会、環境問題などをテーマにしたプロジェクトにも積極的に取組んでいる。 ウェブサイト : www.marcreation.com / メール: contact@marcreation.com
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