よみタイム|2024年7月12日号・Vol.473デジタル版 & バックナンバーはこちら

ダンサー・柏木みどり「踊りで心を追求」

NY公演を終えて
踊りで「心」を追求する
ダンサー 柏木みどり

音楽やアートを通して平和メッセージを届ける「ハーモニー・フォー・ピース(米国公益財団法人)」は4月24日、ジャパン・ソサエティーで、舞踊家・柏木みどりの無料ニューヨーク公演「Dance 舞」を開催した。

柏木みどりは6歳から日本舞踊を習い始め、15歳の時に柏木流名取となる。高校卒業後、テレビタレント・センターに所属しコマーシャルタレントとして活躍。その後、松竹に入社、女優として映画やテレビドラマに多数出演した。

柏木みどり
第三部「舞う舞う舞うー悲しみを超えて」で(左から)花柳寿美蔵、柏木みどり、猿若清三郎  Photo by KC of YOMITIME

1980年代、ニューヨークで3年間を過ごし際、特にフレッド・ベンジャミンやジョジョ・スミスの下でジャズとモダンダンスを学ぶ。帰国後は、三船敏郎が設立した「三船敏郎芸術研究所」でダンスと演技を教えた。

30年以上に渡り国内外で活動を続け、ニューヨークでは、トライベッカ・パフォーミング・アーツ・センターやフローレンス・グールド・ホールなどで公演。2017年に行われた「ニューヨーク・ダンス・パフォーマンス」は、日本でも放送され、ニューヨーク・タイムズ紙やヴィレッジ・ヴォイス誌などで高い評価を得た。

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柏木がニューヨークの舞台に立つのは、2017年以来。前回は人形浄瑠璃とのコラボだったが、今回は、昨年10月に日本初演を果たした3部構成の演目で、日本舞踊家の猿若清三郎と花柳寿美蔵が脇を固めた。

激しい動きのダンスとは対局にある、ゆっくりと流れる繊細な動きを軸とする日本舞踊。際立ったのは、第二部で披露した「着物でタンゴとチャチャ」で、和服に中折れ帽子を被った清三郎と寿美蔵とともに、タンゴを披露。日本舞踊と民俗音楽から発達したタンゴを見事に融合させた柏木の「和製タンゴ」は、内に秘めた情熱を感じさせた。

「一度は立ってみたいステージでした。今回は多くの皆様からご協力をいただきステージに立つことができて嬉しく思っています」と、公演後の楽屋で打ち明ける柏木。

柏木みどり
柏木みどり

「日本公演では日本舞踊家の方々とのジャズダンスを織り交ぜた作品が大変好評でしたが、ニューヨークはどう受け止められるだろうかと案じていました。ですが、日本同様、皆様に楽しんでいただけたようで満足しています」

「日本と西洋」という異なる文化の調和を追求し、他に類を見ないダンス・スタイルを追求する…それが柏木の思い描く「ダンスの世界」だ。

「ニューヨークは私にとって3年間、ダンス・レッスンをした思い出の場所で、ここで学んだ事が、現在の私の踊りに大きな影響を与えています。滞在中はジャズダンスを勉強していました。私が師事していたフレッド・ベンジャミン氏は黒人ダンサーで、心の底から湧き上がる叫びのようなものを表現する方で、その影響が大きいですね。ジャズダンスと日本舞踊とは対極に位置しますが、そういった『心の動き』を踊りで表現したいと思っています」

ダンスは人生そのもので、ニューヨークがその原点だという。 

「ダンスパフォーマンスに限らず、舞台装置や衣装などが美しく、完成されたエンターテインメント作品は、多数発表されています。個人的にも『美しく見せたい』という思いはありますが、私の作品では舞台はシンプルそのもので、『心』を表現できるダンサーで在りたいと思っています」。

楽しい時も、辛い時も、愛する人との別れで感じた耐え難い瞬間も、柏木は踊り続けてきた。自らの「心」を、「ダンス」を使って昇華、これからも踊り続ける。(聞き手・ケーシー谷口)

柏木みどり

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