NY地下鉄に新顔登場!
走行中でも自由に車両間を移動
川崎重工製・新車両「R211T」
キャシー・ホークルNY州知事は2月1日、地下鉄に新車両「R211T形」(川崎重工業製)=表紙写真&①=の導入を発表、運行を開始した。
ホークル知事が「未来の交通機関」と表現した「R211T形」が従来と異なるのは、車両間を自由に行き来できる「オープン・ギャングウェイ」(貫通路式車両)だ。ニューヨーク市内を走る「連結バス」に見られるように、それぞれの車両を「アコーディオン」のような連結幌=写真②=で繋いだもので、乗客は走行中でも安全に車両間を移動できるようになった。
さらに新車両は、車椅子やストローラーに対応した広いドアと折りたたみ式の座席(一部)、車内の安全を見守るセキュリティ・カメラ、見やすいデジタル案内パネルなどを完備。まずは8両編成の2列車が、Cラインのワシントンハイツ(マンハッタン)と、イースト・ニューヨーク(ブルックリン)間を往来する。
初運行前に行われた除幕式でホークル知事は、「地下鉄はNY市の生命線。安全で効率的な運行を目指し、我々は莫大な投資を行っています。新車両をはじめ、監視カメラの増設、信頼性の高いサービスなど、今後、数十年に渡って地下鉄システムはさらに改善されるでしょう」と説明。
同じく除幕式に参加したMTAチェア&CEOのヤンノ・リーバー氏は、「地下鉄車両の『平均年齢』は25歳で、最も古いR46形は50歳近い。MTAは今度、数千の車両を新しくする必要がある。今回の『オープン・ギャングウェイ』の導入が、我々に有効か否かを教えてくれるだろう」と話した。
式典後、ホークル知事を筆頭に、関係者一行は記念すべき一番電車に乗り込んだ。
日本で「オープン・ギャングウェイ」は、すでに旅客列車などで広く利用されているが、北米でこれを備えた車両が営業運転するのは今回が初。
MTAはまた、線路への突き落としや転落事故を防止するため1月下旬、ワシントンハイツの191丁目駅に「プラットホーム・バリア」=写真③=を試験的に設置。日本のような可動式ドアかと思えば、黄色い鉄柵を並べたその簡易さに、ニューヨーカーはがっかり。
MTAによれば、可動式ドアは建設コストが高く、広範囲の駅に設置するのは不可能だと判断。「このバリアが地下鉄利用客を守り、人命を救うことを期待している」とし、引き続き同プログラムの有効性を検証するとしている。