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 よみタイムについて
 

よみタイムVol.129 2010年1月29日発行
号掲載

尾形光琳「松竹に鶴図」屏風
日本の美、五千年
〜パッカード・コレクションの至宝〜
5000 Years of Japanese Art:
Treasures from the Packard Collection


メトロポリタン美術館は1975年ハリー G. C. パッカード氏(1914〜1991)の400点にものぼる日本美術コレクションを一部購入、一部受贈して収蔵、日本部門のグレードを一気に高めた。この出来事から35年、記念の特別展が現在開催中である。220点あまりの展示品の中には保存の難しさ故に、今後5年あるいは10年は再公開されないだろうという珍品もある。自国の文化遺産の海外流出を目の当たりにするのは残念ではあるが、古今東西の芸術の粋を集めたメトロポリタン美術館の中で、ひときわ高い芸術性と深遠なる精神性をそなえた日本の宝はまさに世界の宝でもあることを再認識し、深い感動を覚える。6月6日(日)まで。(文・古屋オリ子)

 パッカード氏は第二次世界大戦中、海兵隊語学学校で日本語を学び、戦後まもなく日本人の本国送還に従事するため中国に滞在した。その頃、現地の美術品に興味をもつが、日本のアメリカ進駐軍に移駐してからは日本美術に魅せられて収集に専念した。1951年帰国し、カリフォルニア大学バークレー校で美術史修士号を取得した後、再度日本に渡り早稲田大学大学院で学ぶ。その後東洋美術史研究家で京都国立博物館美術室長であった島田修二郎氏(1907〜1994)の薫陶を受けて専門知識を深め、人脈を広めた。決して潤沢な資金があった訳ではないが、知識、人脈、審美眼という財産を元に戦後の不確かな時代に収集した美術品は、世界で最大級の質の高い日本美術コレクションを形成することになる。古くは縄文中期(紀元前3000〜2000)の土器に始まり、新しいものは20世紀美術まで長大な歴史に跨り、分野も墨絵、書、日本画の他、陶磁器や仏教彫刻と非常に幅広い。

歴史物語る
縄文・弥生の美


紀元前5千〜1千年頃、日本列島では漁猟が人々の生活を安定させ土器作りが盛んになった。最初のギャラリーには、その時代の骨や石で丁寧に作られた矢じり、釣り針、縫い針などの道具や装飾品が並ぶ。高さ70センチほどの深鉢(紀元前2500〜1500)は典型的な縄文土器で、くっきりと浮かび上がる表面の縄模様と僅かに上に広がった筒形が美しい。大陸から稲作文化が伝わると社会は孤立から共同体へと大きく変化し、新しい形の土器が生まれる。弥生時代の壷形土器(紀元前300〜300)は下に重みを持たせた丸く可愛らしい形に鳥の模様が刻まれている。世界に誇る日本の陶磁器の技術とデザインのルーツは縄文・弥生時代に潜んでいるようである。



蔵王権現立像
圧巻、ズラリと並ぶ仏教彫刻

 メトロポリタン美術館の日本の仏教彫刻コレクションは世界屈指であると言われるが、パッカード氏がその拡充に寄与したことは間違いない。長い利剣をかざし憤怒の表情で現世を見下ろす「不動明王立像」(12世紀:平安時代)、繊細な二重円光に包まれて慈愛に満ちた表情の「地蔵菩薩座像」(13世紀・鎌倉時代)など、非常に芸術性の高い名品が揃っている。特に、高さ35センチほどの青銅の「蔵王権現立像」(11世紀:平安時代)は、右手に掲げた三鈷杵(さんこしょ)と呼ばれる密教法具が欠損しているものの、流れるような優美な線と躍動感がすばらしい。蔵王権現は日本独特の神道、山岳信仰、陰陽道などが仏教と習合して生まれた修験道の神様で、平安時代に末法思想の広がりにともなって人気が高まった。ギャラリー中央のお堂は大分県国東半島にある国宝・富貴寺の阿弥陀堂を模して1986年に建てられた。ここに祭られる大日如来像はパッカードコレクションではないが、「四天王」のうちの2体の立像(12世紀:平安時代)がこれに含まれる。高さ30センチあまりの小さな身体は居丈高なポーズと気迫に満ちた表情で邪悪な精神をはね除けるかのようだ。


肥前焼皿 鍋島タイプ

瀬戸焼石皿

充実の陶磁器コレクション
 陶磁器・土器はパッカード氏の個人的な情熱もあり、縄文期から19世紀まで数多く取り揃えたコレクションは特に充実している。室町時代の風格あふれる信楽焼の壷(14〜15世紀)、形も絵柄も自由でのびのびとした桃山時代の美濃焼は後に続く織部焼に伝統を伝えている。6客の足付茶碗と扇形手鉢(16〜17世紀)は渋味と大胆さが入り交じった織部の特徴を代表して大変興味深い。近代の芸術家・北大路魯山人(1883〜1959)の功績もあり、その魅力は現在も様々な作家に継承されている。江戸時代は何と言っても有田、伊万里を中心とする肥前焼が華やかな発展を見せた。酒井田柿右衛門(1596〜1666)は有田で乳白色の下地に赤絵を焼き付けることに成功し、その技術は当代の第十四代まで脈々と続くお家芸である。柿右衛門風蓋付き深鉢(17世紀)はその人気が海外にも高まった頃の作品で、青、緑、赤の色の調和が美しい。佐賀の鍋島藩は藩直営の窯を設けて藩主の日用品と将軍家や諸大名への贈答品などのために高級磁器を作らせた。名工による洗練された作品は、他の有田焼や伊万里焼と区別して鍋島焼と称した。それとは対照的に、瀬戸で作られた石皿は江戸時代、街道の茶屋で煮物やまんじゅうなどを盛って使われた分厚くたくましい大皿。さっと一筆で描かれたような絵柄は勢いがあり、庶民の活気を思わせて楽しい。

狩野山雪「老梅図」襖絵

土佐光信「四季竹図」屏風
世界に類ない仏教美術の円熟伝わる

 日本の絵画は仏教によって育まれ、またその仏教を支えて来た。数多く並ぶ仏画の中で「普陀落山十一面観音図」(13世紀:鎌倉時代)はひと際美しい。人々はこのような絵図の向こうに観音菩薩の居る浄土、普陀落山(ふだらくせん)を垣間見て心をいやしたのであろうか。土佐光信(1434〜1525?)作とされる六曲一双の屏風「四季竹図」(16世紀)は春夏秋冬の竹の姿が素朴に描かれ清々しい気を発している。室町中期から江戸末期まで約400年続いた狩野派は日本絵画史の柱石となるパワフルな画家一族であり、そのような権勢と影響力は世界広しといえども他に類を見ないと言う。「老梅図」襖絵(17世紀:江戸時代)は狩野山雪(1589〜1651)が京都の妙心寺天祥院のために描いたものであるが、明治の廃仏毀釈の法難に遭い、個人の手にわたり家屋の高さに合わせて上部が少々切除されてしまった。これを展示するため、メトロポリタン美術館は1985年日本文化庁の協力を得て本格的な書院造りの客間を設け、その数奇な運命に結着をつけている。くねくねとうねり黒く節だった古木から若く細い枝が伸び、白い花をつけ始めている。老練な黒、生まれたばかりの清純な 白は、歴史、生命、大局的には宇宙観を物語るようである。

懐月堂安
座敷奥にひっそりと佇む「老梅図」に向かい合い展示されているのは山雪の息子、狩野永納(1631〜1697)による六曲一双の雛屏風「唐子 図」である。永納は学者でもあった父が遺した画論をまとめ、日本絵画史の重要な文献となる「本朝画史」を著した。「唐子図」はパッカードコレクションに含まれないものの、親子を対面させたキュレターのシネード・キョウ氏(Sinead Kehoe)とオーガナイザーの渡辺雅子氏の粋なはからいに心が和む。尾形光琳(1658〜1716)は金箔を多用した背景に大胆に物を配した絵画や美術工芸を生み出して「琳派」を確立する。六曲一隻と四曲一隻(一部欠損と思われる)で対を成す「松竹に鶴図」屏風絵はスケッチ跡が残る淡い彩色の未完成品であり、迫力ある代表作とは趣を異にするもの。完璧に仕上げた作品には見ることのできない光琳の秘められた想いや迷いが滲み出ているように思われる。


祇園南海「墨竹図」打ち掛け
打ち掛けに直接描いた至高の美

 学者、詩人、そして南画の大家として数々の伝説にいろどられた祇園南海(1676〜1751)は、豪商の依頼を受けて婚礼用の打ち掛けに「墨竹図」を描いた。純白の絹地に直接筆を立て、天に向かってまっすぐに伸びる竹を力強く描き、金粉を散らしたこの打ち掛け(18世紀:江戸時代)は珍品中の珍品といってよい。展示の機会は非常に稀とされるため今回是非見ておきたい。女性の着物に筆を下ろすというエロチシズムを至高の美に昇華させた傑作である。代々受け継がれた打ち掛けは約100年後、依頼者の曾孫が婚礼に使うこととなり、この時、陽明学者で詩人の頼山陽(1780〜1832)が漢詩をしたためている。南海が打ち掛けに向って筆をふるうその瞬間に山陽があたかも臨席していたかのように、生き生きと詠った詩の内容を英訳文で読むことができる。山陽の書のすばらしさは言うまでもなく、この2点を並べて鑑賞できた人は生涯これを忘れ得ることはないだろう。

メトロポリタン美術館
1000 Fifth Ave. at 82nd Street
212-535-7710
www.metmuseum.org
火水木9:30am〜5:30pm
金土:9:30am〜9:00pm
日:9:30am〜5:00pm
月:休館
参考料金:大人$20
シニア/学生$15
12歳以下無料
写真クレジット
尾形光琳「松竹に鶴図」屏風
Ogata K决in, Japanese, 1668-1719
Cranes, Pines, and Bamboo
Japan
Edo period (1615-1868), late 17th century
Pair of folding screens; ink and light color on paper
Image (each): 60 9/16 x 96 5/16 in. (153.8 x 244.6 cm)
The Harry G. C. Packard Collection of Asian Art, Gift of Harry G. C. Packard,
and Purchase, Fletcher, Rogers, Harris Brisbane Dick, and Louis V. Bell Funds,
Joseph Pulitzer Bequest, and The Annenberg Fund Inc. Gift, 1975
1975.268.62, .63
蔵王権現立像
Zao Gongen
Japan
Heian period (794-1185), 11th century
Gilt bronze with incised decoration
H. 13 5/8 in. (34.6 cm); W. 7 1/8 in. (18.1 cm); D. 3 9/16 in. (9 cm)
The Harry G. C. Packard Collection of Asian Art, Gift of Harry G. C. Packard,
and Purchase, Fletcher, Rogers, Harris Brisbane Dick, and Louis V. Bell Funds,
Joseph Pulitzer Bequest, and The Annenberg Fund Inc. Gift, 1975
1975.268.155

肥前焼皿 鍋島タイプ
Dish with Design of Three Jars
Dish
Japan
Edo period (1615-1868), early 18th century
Porcelain with underglaze blue and overglaze enamels (Hizen ware, Nabeshima type)
H. 1 5/8 in. (4.1 cm); Diam. 6 in. (15.2 cm)
The Harry G. C. Packard Collection of Asian Art, Gift of Harry G. C. Packard,
and Purchase, Fletcher, Rogers, Harris Brisbane Dick, and Louis V. Bell Funds,
Joseph Pulitzer Bequest, and The Annenberg Fund Inc. Gift, 1975
1975.268.563

瀬戸焼石皿
Ishizara Plate with Design of Human Face
Plate
Japan
Edo period (1615-1868), mid-18th-early 19th century
Stoneware (Seto ware)
H. 2 in. (5.1 cm); Diam. 10 1/2 in. (26.7 cm)
The Harry G. C. Packard Collection of Asian Art, Gift of Harry G. C. Packard,
and Purchase, Fletcher, Rogers, Harris Brisbane Dick, and Louis V. Bell Funds,
Joseph Pulitzer Bequest, and The Annenberg Fund Inc. Gift, 1975
1975.268.604

狩野山雪「老梅図」襖絵
Kano Sansetsu, Japanese, 1589ミ1651
The Old Plum
Japan
Edo period (1615-1868), ca. 1645
Four sliding door panels (fusuma); ink, color, and gold on gilded paper
68 3/4 x 191 1/8 in. (174.6 x 485.5 cm)
The Harry G. C. Packard Collection of Asian Art, Gift of Harry G. C. Packard,
and Purchase, Fletcher, Rogers, Harris Brisbane Dick, and Louis V. Bell Funds,
Joseph Pulitzer Bequest, and The Annenberg Fund Inc. Gift, 1975
1975.268.48a-d
土佐光信「四季竹図」屏風
Attributed to Tosa Mitsunobu, 1434-1525
Bamboo in Four Seasons
Japan
Muromachi period (1392-1573), 16th century
Six-panel folding screen; ink, color, and gold on paper
Image: 61 13/16 x 141 3/4 in. (157 x 360 cm)
The Harry G. C. Packard Collection of Asian Art, Gift of Harry G. C. Packard,
and Purchase, Fletcher, Rogers, Harris Brisbane Dick, and Louis V. Bell Funds,
Joseph Pulitzer Bequest, and The Annenberg Fund Inc. Gift, 1975
1975.268.45
懐月堂安
Kaigetsudo Dohan, active 1710-16
Beautiful Woman
Japan
Edo period (1615-1868), 18th century
Hanging scroll; ink and color on paper
Image: 32 3/16 x 13 3/16 in. (81.8 x 33.5 cm)
Overall with mounting: 64 3/8 x 20 1/8 in. (163.5 x 51.1 cm)
The Harry G. C. Packard Collection of Asian Art, Gift of Harry G. C. Packard,
and Purchase, Fletcher, Rogers, Harris Brisbane Dick, and Louis V. Bell Funds,
Joseph Pulitzer Bequest, and The Annenberg Fund Inc. Gift, 1975
1975.268.125