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よみタイムVol.103 12月26日号
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よみタイムVol.103 2008年12月26日発行号
メト歌劇場を支える日本人女性たち
 華やかな舞台のメトロポリタン歌劇場に影で活躍する2人の日本人女性がいる。専属ハーピストの安楽真理子と今シーズン新演出「ファウストの拷罰」の照明デザイナーとしてデビューを飾った西川園代。決してスポットライトを浴びているわけではないが、メトにとっては欠かせない存在。こんなところにもニッポン人は頑張っている。
(針ケ谷郁記者)

専属ハーピスト 安楽真里子
華麗なる音楽一家で育つ


 メトロポリタン歌劇場の舞台と客席最前列の間にあるオーケストラピットには、約70人の演奏家がいる。ハーピストはたった2人。インターミッション時にチューニングをしている姿が見られるかも知れない。
 祖母がピアニスト、叔母の井上久美子は有名なハーピスト。そんな音楽一家の中で生まれた。3歳の時、弟が生まれ、祖母の家に預けられ、ハープを叔母から習い始めた。
 大人用のハープはコンサート・グランドと言ってペダルも7つあるが、子どものころは、小さくペダルもないアイリッシュ・ハープでの練習だった。その後、父親の転勤でカナダに移り、トロントでジュディ・ローマン先生に師事。9年生の時、再度、親の転勤に伴いロサンゼルスに引っ越す。
 だが「良いハープの先生が見つからなかった」ため、父親が日本に戻るまで、ひとりでトロントのジュディ先生の家に3年間下宿した。
 日本に帰ってからは、また叔母に習いながら、夏休みや冬休みの長い休暇にはジュディ先生の所に通い続け、先生はまるで「第2の母」のような存在となった。
 オペラを初めて観たのはジュリアード在学中で、メトロポリタン歌劇場で「蝶々夫人」だった。ジュリアードの大学院の1年生の2月にメトのハープの奏者のオーディションがあった。
 「以前、私が3位になった国際ハープ・コンペティションで優勝した女性がベルリン・フィルに移籍することになって、その尊敬する彼女のポジションだった」という理由でオーディションを受けて合格、在学中の2年生の9月からメトの仕事が始まる。
 初めての舞台は95年のオープニング・ガラでレヴァインが指揮するドミンゴ主演の「オテロ」。「素晴らしく感動しました」というが。仕事を始めたころはストレスがすごかったそうだ。
 「大学ではオペラのスタンダードを全く弾いた経験がなく、月曜から土曜まで毎日違うオペラのリハーサルがあって楽譜を見るだけでも大変ですし、同じ曲でも指揮者のスタイルでいろいろ変わるし、CDを全部買って勉強しました」。
 リハーサルと本番の間に練習をして、それでも、歌手によって、間やタイミングが違う。例えばルチアとハープの掛け合いでは「オケ・ピットから見えない、声だけ聞こえてくる歌手と合わせるには、指揮をフォローしつつアンテナをいっぱい張って感を使って弾くしかないですね。共演したデセイ、ダムラウは安定しているのでやりやすかったですが」と当時を振り返る。
 指揮者の小澤征爾とは2年前に松本のサイトウキネン・オーケストラで共演したが「センシティヴな印象でした。ゲルギエフはヒューマンだし、レヴァインの情熱も素晴らしいですね」と話す。
 また、08年11月28日「トリスタンとイゾルデ」でメト・デビューした指揮者でピアニストのダニエル・バレンボイムについては「超人です」という。初めてのリハーサルの時、レヴァインが「一緒にいらっしゃい」といって「僕の尊敬する、グッド・フレンドです」とバレンボイムを紹介してくれたそうだ。
 「以前、バイロイト音楽祭で一緒に仕事していた時もお互いに聴き合っていたそうですが、今回も毎回リハーサルにレヴァンが立ち合っていました。バレンボイムは全てが頭に入っていて、スコアはもちろん暗譜。まず、オケの並び方をベルリンと同じように替えて、管楽器のチューニングがずれているのも見逃さない、何もかもが完璧に、彼の的確な指示で素晴らしい音楽になっていくんです」と感動していた。
 これまで印象に残った歌手は「やはりパヴァロッティ」という。
 レヴァインの指揮で「ロンバルディ」のレコーディングの時、ハープ2台とのアリアあって「とても緊張しました」。
 また女性では「エディタ・グルベローヴァです」。ヨーロッパツアーの時、「ナクソス島のアリアドネ」を歌ったのが素晴らしかった。グルベローヴァは、リハーサルが嫌いなことで有名だが「メトでは1か月前からリハーサル、本番も1か月くらい拘束されるのでメトには来ないですね」と話す。
 「それからニューヨークフィルと一緒にギリシャ、トルコ、アムス、ロンドン、パリ、ドイツなどいろんな国を訪れることができて楽しかった」と結んだ。
カーネギーでリサイタル
盲目の施設慰問も予定


 メトロポリタン歌劇場管弦楽団の専属ハーピスト、安楽真里子が1月28日(水)午後8時からカーネギーワイルリサイタルホールでコンサートを行う。
 このコンサートは、フランス人のメルレー神父が主催するシリーズ。オーディションで選ばれたミュージシャンたちが、各国のコンサートホールでの演奏会と合わせて2つのまったく演奏会とは縁のない場所に出向いて、慰問コンサートを行うというもの。
 安楽はこのシリーズに何度か演奏している。ロサンゼルスのビング・シアターでの演奏会の後、女性の刑務所と日本人の老人ホームでも演奏し、イタリアでは、盲目の施設、麻薬のリハビリセンターなども訪れている。ハンディ・キャップの施設では8歳の子が、演奏してくれたお礼に歌いたいと言って、お返しをしたりと普通の演奏会では体験できない感動があるそうだ。
 今回もニューヨークの盲目の施設を慰問する予定となっている。チケット代は20ドル。

場所: Weill Recital Hall at Carnegie Hall
日時:1月28日(水)8時開演
問い合わせ:カーネギー・ホール212-247-7800
www.promusicis.org
出演:安楽真理子(メトロポリタン歌劇場首席奏者)
Jessica Zhou(ニューヨーク・シティ・オペラ首席奏者)
Nancy Allen(ニューヨーク・フィル首席奏者)
プログラム:Works by John Thomas,
Jean-Micheal Damase and Ravel
( Ma Mere l'Oye for Three Harps)