2016年12月23日号 Vol.292

新年の喜びを世界の音楽で!
グローバルフェスト

希望に満ち溢れた新年の喜びを、世界の音楽で祝うグローバルフェスト(globalFEST)が1月8日(日)、その名にふさわしい音楽の都、ニューヨークで開催される。会場は昨年に続き、ライブ音楽の古城とも言えるウェブスターホール。地下1階「The Studio」、1階「The Marlin Room」、2階「The Grand Ballroom」。この3つのステージで、選りすぐられた12組の音楽アーティストが集結し、その才能を披露し合う1夜限りの豪華なエンターテイメント・ショーケースだ。(河野洋)


摩訶不思議な民謡ダンスロック
シンシン

既に14回目を迎えるグローバルフェストは、2005年に日本から吉田兄弟が出演したというものの、アジアからの出演グループは未だ数が少ない。しかし、今回は韓国から民謡ロックのシンシン(Ssing Ssing)が舞台を盛り上げる。
シンシンは、シャーマニズムの音楽を現代風にアレンジするというイヒムン(リードボーカル)のプロジェクトをきっかけに集まった6人のメンバーによって、2015年に結成された。
イヒムンに、紅一点のチュダヘとシンスンテの3人のシンガーが歌う伝統民謡と、音楽ディレクターを務めるチャンヨンギュ(ベース)、イチョルヒ(ドラム)、イテワォン(ギター、キーボード)の3人の熟練したミュージシャンによるシンプルなロック・サウンド。
これらが絶妙に調和され、摩訶不思議な心地よいダンス・グルーブを生み出すご機嫌なグループが、シンシンだ。
東京にも住んでいたというイヒムンは「メンバーはみんな個性的でカッコつけずに、好き勝手にやっていて、まとめるのが大変なんですよ」とリーダー不在というバンド状況を流暢な日本語で話す。アーティスト写真を見れば、鮮烈な赤と黒の衣装に身を包んだ彼らの強烈な個性が容易に伝わってくる。
既にベルギーやスペインでコンサートを行ったシンシンは、今回のニューヨークでのアメリカデビューを皮切りに、2017年はドイツ、ポーランドなどの欧州でのライブ活動を展開していく予定だ。
「シンシンは今回アジアから参加する唯一のグループです。同じアジア人として興味を持って見に来て頂けたら嬉しいです。ぜひ日本語で声をかけてくださいね」とメッセージをくれたイヒムン。同グループは1月6日にもクイーンズのフラッシング・タウンホールで単独コンサートを行う。


地平線が息づくポップ・ネオソウル
ジョジョ・アボット

ガーナからは、女性シンガー、ジョジョ・アボットが参加する。同国ヴォルタ州ホ市で生まれたジョジョは、米国との往来を何度も繰り返し、人生の大半を両国で過ごしている。以前は、ボブ・マーリー、ラッキー・デューベなどのレゲエを聴いていたが、何処にいても伝統音楽、特にゴスペルを愛し、それが血となり肉となり、彼女の音のDNAになっているという。
2015年にリリースされたデビューEP「FYFYA WOTO」 (4曲入り)は、「新発見」を意味する。レコーディングはコペンハーゲンで行われ、デンマーク出身のジョナスと共同制作されたが、ガーナのソウル・ボイスと北欧のエレクトロニック・サウンドが見事に融合し、彼女の音楽は、アフリカの地平線が生命を帯び、息づくかのような新しい「ポップ・ネオソウル」というイメージだ。
音楽同様に彼女の個性溢れるセンスにも注目したい。デザインとスタイリングという二つのフィールドにも取り組むジョジョのファッション・センスは、「Studio One Eighty Nine」や「Christie Brown」のようなガーナのファッション・ブランドにも負けないくらい独創的、且つ革新的だ。
そして、ジョジョが、アメリカの文化と価値感を理解する上でとても大切に思っているという、もう一つの故郷ニューヨーク。
「グローバリズムの渦の中で、これまで見てきた世界が私のバランス感覚を作り出している。グローバルフェストのような特別な機会で、その私というアーティストがどう映るのか、真価が問われると思う」
世界の音楽同胞たちと分かちあう舞台への意気込みを見せる。「自愛の中で成長し、愛情をあなたの周りの人たちへ注いでください。自分たちが住みたいと思う世界を築く手助けをしてください。毎日、毎時間、限りない愛で…」と、優しさ溢れるメッセージを残してくれた。


キューバからは2015年のラテン・グラミーを受賞したセプテート・サンティアゲーロ。灼熱の太陽とトロピカルな微風をカリブから運び、大胆でダンサブルなビートの波に乗ってフロアを揺らす。

フィドルを操るエストニアのマーリヤ・ヌートは、夢と現実の狭間に眠る音の妖精たちを呼び覚まし踊らせる。北欧州のフォーク・ミュージックが、デジタル・ストリーミングする媚薬的なサウンドコラージュだ。

アンゴラに生まれ、ポルトガルで育ったペドロ・コケナァォンによるプロジェクト「バティーダ」。アフリカ大陸がダンス・フロアと化したかのような、弾けるエレクトロニック音楽。

アメリカではデビューライブとなるベツサイダ・マチャード・イ・ラ・パランダ・エル・クラーボは、ベネズエラからやってくる。ベツサイダ・マチャードのカラフル且つパワフルな歌声が、アフリカの大地の呼吸のようにうねり、ステージを熱くする。

インド人としてのアイデンティティを持ちながら、アメリカン・ジャズを掘り下げるアルトサックス奏者、ルードレッシュ・マハンタッパは、ジャズという言語の可能性を最大限に広げ、オーディエンスに雄弁に語りかける。

モロッカン・ロックを聴かせるのは、ホバ・ホバ・スピリット。オーソドックスなロックサウンドながらも、モロッコ社会に向けて政治的な歌詞をアラブ語で歌い、熱いステージを見せる。

他にも、コンゴ・ルンバのロルケストル・アフリーサ・インターナショナル・エ・ エムビリア・ベル、東アフリカ・レトロ・ポップのアルサラー&ザ・ヌバトーンズ、アメリカからはランキー・タンキーと、レア・エッセンスが出演する。

世界中の音楽が一夜で楽しめるのは、ニューヨーカーの特権。世界を旅することなく、世界を駆け足で聴く。グローバルフェストは正に音楽ミュージアムだ。

※注:掲載した出演者は2016年12月19日現在の情報です。主催者側の都合により変更・キャンセルになる可能性もあります。予めご了承ください。(編集部)

globalFEST 2017
■2017年1月8日 (日) 7:00pm
■会場: Webster Hall
 125 East 11th Street
■$45(入場18歳以上、要写真ID)
www.globalfest.org
www.websterhall.com


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