2017年12月1日号 Vol.315

豪華で優雅なドタバタコメディ
ベット・ミドラー主演で大盛況
「ハロー、ドーリー!」


Bette Midler in HELLO, DOLLY! (All Photos by Julieta Cervantes)


Bette Midler and David Hyde Pierce


(l to r) Beanie Feldstein, Taylor Trensch, Kate Baldwin and Gavin Creel


ベット・ミドラー、「吉祥天女(きっしょうてんにょ)」のような優雅さと崇められようです!
とにかく、ステージに出て来ただけで拍手が鳴り止みません。この舞台、ブロードウェイでは珍しく、日本の宝塚大劇場のように、舞台最前のオーケストラピットの前に、客席のすぐ目の前を横切る「橋がかり」のような通路が設けられているのですが、これを彼女が下手から上手に通り抜けるだけで、観客は大喝采。それほど別格の人気を誇っているのがベットなのです。
連日、立ち見席までソールドアウト。去年9月のチケット発売初日には約908万ドルのブロードウェイ史上最高の売り上げ記録樹立と、開幕前から熱いチケット争奪戦が繰り広げられていたこのミュージカル。どうしてこれほどまでブロードウェイ・ファンが熱狂しているのでしょうか。
そもそも、キャロル・チャニングがライフワークとして20年以上演じ続けていたこの「ハロー・ドーリー」、次に誰が引き継ぐのかと業界中が注目していました。当然、大物じゃないと作品自体についているファンも納得しないし、そういう意味ではベット・ミドラーなら誰も文句を言わない、ドンピシャなキャスティングだったわけです。そんな、関係者とファンが寄せる期待以上の出来を、ベットは連日見せてくれている。ものすごく若く見えても彼女はもう72歳。たぶん、ミュージカルの主役をロングランで飾るのはこれが最後になるのではとも考えられるため、最後の勇姿を一目脳裏に焼き付けたい、と連日「初詣(はつもうで)」状態になっているのです。
映画「ローズ」や「ステラ」で女優として有名なベットですが、「愛は翼に乗って」は全米シングル1位に輝いた名曲。歌手として、長年、ラスベガスで下ネタ満載のショーも開催していました。伝説のエージェントマネージャーを一人舞台で演じ、4年前にもブロードウェイに立っていますが、そのときはセットも衣裳もチェンジなし。それが今回は、引っ込む度に豪華衣裳に着替え、馬車や大階段まで出て来る超豪華さ。多分、今、上演中のオンブロ作品で一番製作費用がかかっているのがこの「ハロー・ドーリー」でしょう。

お節介で面倒見の良い未亡人・ドーリー役というのもベットにはピッタリ。持ち前の明るさで人と人とをくっつける仲人業を営んでいるのですが、田舎町で飼料店を営むケチのホレスと女帽子屋の縁組みを画策。主人の留守に分不相応の息抜きをする飼料店の従業員と、ホレスの姪っ子に惚れ込んだ貧乏画家も巻き込んで、ドタバタ劇が展開して行きます。他人の世話ばかり焼いているドーリーが最後にどうなるのか…。

21世紀バージョンとして、2幕目の最初にはデビッド・ハイド・ピアースがソロで歌うホレスの曲も復活。ファンサービスにも余念がありません。2幕目のドーリーが1人で延々と食事をするだけで観客を大笑いにさせるシーンは、まさにベットの真骨頂。やっぱり彼女にはコメディが合います!
ベットはドーリーの演技で今年のトニー賞最優秀主演女優賞を受賞しています。生のベットを見に行くだけでチケット代を払う価値は充分にあります。
ベットとデビッドの出演は1月14日まで。1月20日からは、トニー賞二度受賞のバーナデット・ピータースがドーリー役を引き継ぎます。
毎週火曜日は「王様と私」でトニー賞を受賞したドナ・マーフィーが演じているのでベット目当ての人は要注意。
ウィンターシーズンに大笑いしたい人はぜひ!(佐藤博之)

Hello, Dolly!
■会場:Shubert Theatre
 225 W. 44th St.
■$39〜
■上演時間2時間40分
hellodollyonbroadway.com



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