2017年09月08日号 Vol.309

詩人ヨンカーの人生テーマ
溺死した母と息子の対話
ハイテク・オペラ「ブランク・アウト」


Miah Persson in Blank Out. All photos by Marco Borggreve.


Miah Persson and Roderick Williams in Blank Out.


Miah Persson and Roderick Williams in Blank Out.


オランダの作曲家、ミシェル・ファン・デル・アーの新作「ブランク・アウト」が、9月21日(木)から27日(水)まで、パークアベニュー・アーモリーで上演される。古典的なオペラを新しい側面からアプローチすることで、革新的な作品を創造しようと試みるオランダ国立オペラ(ダッチ・ナショナル・オペラ)によるプロダクションで、パフォーマーと映像をリンクさせた室内楽オペラだ。
作者のファン・デル・アーは、作曲だけにとどまらず演出、ディレクターなどもこなす多彩な才能の持ち主。伝統を踏まえながらも、ウェブブラウザーやアプリ、3D映像など、様々な最新技術を組み合わせた新ジャンル「3Dフィルム・オペラ」を造り出した。

南アフリカの女流詩人、イングリッド・ヨンカーの人生とその作品をテーマに制作された 「ブランク・アウト」。アパルトヘイト体制下で、同政策を推進する政治家の父親と対立、黒人差別に反対した白人女性だ。自由奔放で情熱的だったヨンカーは、65年の夏、ケープタウンのビーチから入水自殺、32歳でその生涯を閉じた。
94年、南アフリカ大統領に就任したネルソン・マンデラは、国会での挨拶で、ヨンカーの詩を朗読したという。

「ブランク・アウト」は、幼い頃に母親が溺死した男の話。舞台にはソプラノ歌手のミア・パーションが立ち、背後に流れる映像にバリトン歌手のロードリック・ ウィリアムが現れる。ステージ上に設置された物語の「舞台」となるミニチュアセットと背景の映像、目の前で演じ歌うパーションと、映像内のウィリアムがリンクし対話する。彼らの歌声に加え、オランダ室内合唱団の荘厳なコーラスと電子音楽の機械的なリズムが、シンプルで美しいハーモニーを奏でる。
「詩的で挑発的」「全てのエレメントが素晴らしい」と、評されたハイテク・オペラ。

Blank Out: Michel van der Aa
■9月21日(木)〜27日(水)※火休
■会場:Park Avenue Armory
 Wade Thompson Drill Hall
 643 Park Ave.
■ $40〜
www.armoryonpark.org


HOME